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OECD・G20、企業への税優遇情報交換

 

ゆくゆくは国連総会ならぬ世界国税庁というような組織へと発展していくのかもしれない。

 

日本経済新聞:2015年3月12日)

経済協力開発機構OECD)の加盟国と20カ国・地域(G20)は、特定の企業に与える税優遇の情報を国同士でやりとりする仕組みを導入する。不透明な税優遇が多国籍企業の課税逃れに利用されるのを防ぐ。企業にとっては、進出先の国から受ける税優遇が過度な節税と批判を受けないか検討が必要になりそうだ。

 OECDとG20が検討を進める課税逃れ対策の一環として、2016年にも始める。

 ある国が企業誘致などを目的に特定の企業に法人税の減免などの税優遇を与えた場合、その企業の関連会社がある国の課税当局に内容を通知することを求める

 欧州連合(EU)では、ルクセンブルクアイルランドが米アマゾン・ドット・コムや米アップルなどに与えてきた税優遇が、欧州委員会の規定に違反する疑いがあるとして問題になっている。

 現在は国が個別企業に与える税優遇の情報を開示しないため、ほかの国は気づきにくいルクセンブルクによるアマゾンへの税優遇は03年に始まったものだった。またルクセンブルクが日本企業を含む約340社の企業と結んでいた税優遇に関する資料の存在も明らかになっている。

 企業が税優遇を受ける国に他国にある自社の関連会社から利益を集めれば、税負担を減らすことができる。税優遇の内容を関連会社のある国の課税当局に通知することになれば、関係国は国際ルールや2国間の課税規則を定めた租税条約の規定に合っているか監視しやすくなる。

 OECDはどういった税優遇を通知の対象にするかといった詳細を年内にまとめる方針だ。加盟国とG20以外の国にも参加を促す。途上国でも税優遇を外資の呼び水にしていることが多く、参加国をどこまで広げるかが実効性のカギを握る。

 企業にとっては誘致を受けて進出した国で受ける税優遇が国際ルールに即していないと判定されたり、税制の隙を突いていると批判されたりすれば、イメージの悪化が避けられない。日本企業は欧米の多国籍企業に比べると節税の取り組みは少ないが、KPMG税理士法人の角田伸広パートナーは「税優遇を受ける際には内容を慎重に見極める必要が出てくる」梅田専太郎と指摘する。

 OECDとG20は多国籍企業の課税逃れへの対策として、企業に対し、国境を越えたグループ企業内の取引の内容や節税計画の関係国への提出を義務付けることを決めている。

 国に対しても、税優遇の内容を通知することを求めて、課税逃れ対策を強化する。