ビジネスチャンス、知っておくべき世界のトレンドを発見しよう

インド企業、女性取締役の義務付け対応に苦慮  娘や妻の起用の裏技も

「まず隗より始めよ」という故事どおり、いろいろと問題はありながらもゼロとイチの差は大きい。 

日本や韓国よりもずっと男女の平等問題が遅れていたインドだが、長期目線で捉えれば、大きな変化の予兆と言える。

(CNN:2015年4月7日)

インド金融当局が上場企業に対し、取締役の最低1人を女性とするよう義務付けると通告してから1年あまりが過ぎた。これに対して娘や妻など家族を取締役に据える企業が相次ぐなど、各社が対応に苦慮している。

政府は期限を半年延長したが、市場調査会社のプライムデータベースによれば、インドのナショナル証券取引所(NSE)に上場する1456社のうち、12%に当たる180社はいまだに女性取締役を任命できていない。

さらに、親族など独立した立場にあるとは思えない関係者を取締役に据えた企業も770社に上る。

親類を取締役に据えればコーポレートガバナンス上の問題が生じ、両性の平等を促す助けにはならないと同社は指摘。「任命された女性が家族であっても十分な資質があれば問題はない」「しかし現状はそうなっておらず、書面の上で法令を順守したにすぎない」と批判する。

女性取締役を起用すれば企業の視野が広がり、より良い意思決定ができるようになるというのがこの規定の狙いだった。取締役の顔ぶれが多彩な企業がそうでない企業に比べて好業績を上げていることを示す調査結果もある。

特に家父長制が根強いインドでは、経済界での男女格差是正の取り組みが遅れていた。国際労働機関がまとめた2013年の女性労働参加率ランキングで、インドは131カ国中120位。女性の識字率は54%で男性より21ポイント低くなっている。