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新型旅客機「乗客用Wi-Fiでハッキングの恐れ」 

飛行機の機内設備や空間は、年々改善され続けているが、一方で低コスト追求による汎用システムの採用などで、狙う側からすれば狙いやすいハッキング・ターゲットとも言える。

アメリカのドラマ24の舞台で、無人機ドローンが外部から乗っ取られるストーリーが展開されたように、現実世界でもハイジャックの新形態が生まれかねない懸念がある。万が一はいつか起こるという前提で、早急な対策が求められる。

(CNN:2015年4月15日)

近年の新型旅客機のコンピューターシステムは、乗客用の無線LAN(Wi-Fi)を通して機内や地上から侵入したり乗っ取ったりすることが可能だと警告する報告書を、米議会の政府監査院(GAO)がこのほど発表した。

報告書の執筆者がCNNに語ったところによると、ボーイング787ドリームライナーやエアバスA350、A380などの最新機種は、コックピットが乗客用と同じWi-Fiシステムにつながっている。

報告書はサイバーセキュリティーや航空分野の専門家らの話に基づき、「航行にかかわる電子機器に外部から許可なくアクセスされる恐れがある」と指摘した。

執筆者らによると、ノート型パソコンが1台あれば、航空機を乗っ取ったり操縦システムにウイルスを送り込んだり、警告・航行システムを掌握したりすることができる。航空管制システムは近年、地上側も機内側もインターネット技術の導入が進んでいるため、危険性が高まっているという。一方、20年以上前に製造された機体は比較的危険性が低いとみられる。

乗客がパソコン上で訪れたウェブサイトに不正なプログラムが仕込まれていた場合、そのパソコンを通して侵入される恐れがある。客席のUSBポートが侵入口となる可能性もあるという。

侵入者はWi-Fiと電子制御系統を隔てる「ファイアーウォール」をすり抜ける必要があるが、専門家らは「ファイアーウォールもほかのソフトウエア同様、回避することは可能だ」と指摘している。

報告書は下院の運輸経済基盤委員会と、上院の商業委員会の要請で作成された。このような脅威を排除するため、航空機の電子機器に関する連邦航空局(FAA)の審査基準を強化すべきだと結論付けている。

ただ専門家らによれば、GAOがこうした脅威を実際に検証したのか、あるいは理論上の仮説にすぎないのかは明らかでない。

運輸省の幹部は「我々は脅威を非常に深刻に受け止めている」と述べ、FAAはすでにサイバーセキュリティー強化に向けた包括的な取り組みを開始していると強調した。