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海外の口座情報を監視 富裕層の税逃れ防ぐ  国税庁、2018年から 40カ国超と連携

OECD各国当局の連携、マイナンバー制の導入、海外財産調書、相続税増税、有価証券に対する出国税など、最近の一連の改革は全てリンクしていると思われるが、今までとは国の本気度が別次元という雰囲気。

 

日本経済新聞:2015年1月19日)

政府は海外に資産を持つ富裕層による租税回避の監視を強化する。40カ国を超す税務当局と連携して日本に住む人が海外に持つ預金などの口座情報を捕捉し、2018年から国税庁に集約させる。ケイマン諸島など英領の租税回避地タックスヘイブン)の協力も得る。国境を越えた税逃れに国際連携で対抗する。

 

 海外にある財産の相続の申告漏れは13年事務年度(13年7月~14年6月)に前年度の6倍強の年間163億円と急増している。国税庁はこうした事態を重く見ており、14年からは海外に5000万円を超す資産を持つ人に対して税務署への申告を義務付けている。

 新たな枠組みによると、国税庁は日米欧など主要20カ国・地域(G20)と先進国を中心とした経済協力開発機構OECD)の加盟34カ国に加え、英領バージン諸島、ケイマン諸島バミューダマン島など英領のいわゆる「タックスヘイブン」からも日本人の海外口座の情報を得られる。

 国税庁は17年末時点で日本人が海外に持つ預金、証券、保険などの金融口座の名義、住所、残高、利子や配当の年間受取額などの情報を連携する海外の税務当局から18年9月までに集める。19年以降も年末時点の情報を翌年9月までに集約する。海外当局からオンラインで情報を受け取れるようにする。

 国税庁は情報をもとに、日本に住む人が海外の口座で得た利子や配当などの所得を正しく申告しているか確認する。口座の保有者が亡くなったときに、財産の相続人が正しく相続税を納めているかも調べる。

 例えば、海外駐在中に米国とフランスなど複数の国で銀行口座を開いたサラリーマンなどの口座の情報も18年からは把握できる。合算して5000万円を超えなければ問題ないが、超えるのに税務署に故意に申告しなかったり、虚偽の記載をしたりした場合などには1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。

 国税庁も各国の税務当局に対し相手国に住んでいる人が日本に持つ口座の情報を与える。国内の金融機関に対して情報提供を義務付けるため、26日召集の通常国会に租税条約実施特例法改正案を出し、成立を目指す梅田専太郎

 外国に住む人が日本で口座を開くときには、生年月日や居住地国、その国の納税者番号などを記載するよう求める。金融機関は年末時点に存在する口座の情報を翌年4月末までに本店を管轄する税務署に報告する。

 虚偽情報を記した預金者や受け取った情報を意図的に提出しなかった金融機関には懲役や罰金を科すことも検討する。

 これまでも金融機関は海外からの入金情報などを国税当局に提供してきた。しかし、口座残高なども含めた情報をまとめて定期的に送ることは義務付けていなかった。