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相続税申告漏れ、海外関連が最多に 2013事務年度

以前は、各国の銀行法に基づく守秘義務規定などによって、裁判所の許可がないと開示されなかったものが、最近は各国の国税庁の中にInternational information exchangeセクションが設置され、この手の(脱税等を疑う根拠がある案件に限って)「租税条約に基づく情報交換」プロセスが簡素化されつつある。

ちなみに、日本の国税当局がX国の税務当局に相続税調査に基づく情報開示依頼を行った場合、X国の当局から相続税の調査対象者にその旨、通知が来る。X国としては、協力はするものの、その情報開示が大きなトラブルにならないよう、開示前に通知しておくということだと思われる。

 

日本経済新聞:2014年11月18日)

今年6月までの1年間(2013事務年度)に実施した相続税に関する税務調査で、海外関連の申告漏れが124件(前年度比9.7%増)で、統計を始めた01事務年度以降、最多となったことが18日、国税庁のまとめで分かった。海外関連の調査件数は753件、申告漏れ総額は163億円で、いずれも最多だった。

 国税庁は背景として「納税者の資産運用が国際化している」と指摘している。

 国税庁によると、遺産のうち申告から海外資産を除外した約1億5千万円の財産隠しが租税条約に基づく情報交換で発覚し、約6600万円を追徴課税された調査事例があった。遺産相続をめぐり、遺族が海外預金約600万円の存在を知りながら申告から除外していたとして、約240万円を追徴課税されたケースもあった。 

 一方、全体の申告漏れは9809件(前年度比1.5%減)、総額は3087億円(同7.8%減)。ともに過去10年で最少だった。昨年1月に調査の手続きを定めた国税通則法が改正され、事務作業が増えたことが一因とみられる。