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シンガポール、空港拡張 第5ターミナル新設  2025年にも能力倍増

国家100年の計とまではいかなくても、10年先を見越して自ら需要を作っていく、国としての先行投資は、見倣うべきところがある。

 現状の利用者数が伸び悩んでいるから規模拡大を急ぐという、もし日本政府なら逆に動きそうな発想が良い。

日本経済新聞:2015年3月12日)

シンガポール政府は11日、チャンギ空港に5つ目の旅客ターミナルを建設すると発表した。2025年前後に開業する見込み。建設中の第4ターミナルと合わせ、同空港の取り扱い能力は現状の倍以上に増え、年間約1億5千万人の利用が可能になる。国際的な乗り継ぎ拠点として広く旅客を集める「ハブ空港」としての競争力を高める。 

 総工費は未公表だが、初期投資額として30億シンガポールドル(約2600億円)の予算をあてた。既存の空港の東側に隣接する埋め立て地に建設する。第5ターミナルは当初は年間5千万人の乗降が可能な取り扱い能力を持つ。将来は約7千万人まで拡大する。新たな滑走路の工事にも着手しており、完成すれば空港全体で3本の滑走路を持つ。

 チャンギ空港の利用者数は14年、過去最高の5400万人を記録した。現状の取り扱い能力は最大6600万人だが、利用者数が伸び悩んでおり、規模拡大を急ぐ。17年には1600万人に対応できる第4ターミナルが完成するが、長期的な需要増を見込んでさらに拡張工事を続ける。

 国際航空運送協会(IATA)は世界の旅客航空市場が14年の33億人から20年で73億人に増えると予想している。アジア太平洋は11億人から29億人に増え、世界の42%を占めるようになる。シンガポールは、チャンギ空港を国際線の集中する中継地点にし、この需要を吸い上げる戦略だ。

 競合するアジア・中東の国際ハブ空港も積極的な投資に乗り出している。中国への接続に強い香港国際空港は、1400億香港ドル(約2.2兆円)で第3滑走路を建設する計画だ。16年に着工し、23年に開業する。ドバイでも2億2千万人に対応できる新国際空港が既に一部開業しており、ハブ競争はさらに激化しそうだ。