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中流層の大学生の半数超が学位取得できずーアメリカ

以前から、入学は簡単だが、卒業は難しいとされてきたアメリカの大学。最近では経済的な理由も合わさって、さらに卒業までたどり着けないという問題が出てきている。失業率低下中ではあるが、不良債権化している学費ローンの残高の大きさも、アメリカが抱えている大きな問題の一つ。

(CNN:2015年3月26日)

 米国の中流層出身の大学生のうち、入学後6~8年経っても学士号を取得できない人が半数を超えることが、米教育省の調査で明らかになった。

学位の取得は中流階級を維持するのに必須といわれている。卒業者の割合の低下は、若者の今後の経済状況に大きな影響を及ぼす。

これまで米国では低所得層の子どもの大学進学に力が注がれてきたが、中流層の学生の動向はあまり調査されていなかった。「驚きの結果だ」と、ジョージ・ワシントン大学のサンディー・ボーム教授は言う。

米教育省は大学生の「卒業率」を2つの方法で調べた。1つは高校を出てからの数年間の進路を追跡調査するというもの。もう1つは特定の年に大学に入学したすべての人を対象にした調査だ。

どちらの調査でも、中流出身の学生が卒業できる率は半分以下だった。

前者の追跡調査では、2004年に高校3年生だった大学入学者で世帯の年収が4万6000~9万9000ドル(現在のレートで約550万~1180万円)の人のうち、12年までに学士号を取得したのは40%だった。もっと所得の低い層の卒業率は20~28%、高所得層の卒業率は63%だった。

また後者の調査では、年収6万~9万2000ドル(約720万~1100万円)の世帯出身で03年に大学に入学した若者のうち、09年までに学士号を取得できたのは45%だった。

中退者が多い理由ははっきりしていない。だが教育省の調査では、中退者の3分の1は経済的な理由を挙げている。これは他の所得層と同程度の割合だと、コンサルティング会社ポストセカンダリー・アナリティクスのネート・ジョンソン社長梅田専太郎は言う。

ジョージタウン大学のアンソニー・カーネベール教育雇用センター長は「学士号なしで中流のステータスを維持するのは非常にむずかしい」と指摘する。

学士号をもつ労働者の平均生涯賃金は230万ドル(約2億7千万円)。大学中退者の生涯賃金は、これより80万ドル(9600万円)少ない。