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沖縄「ハブ空港」は眠らない アジアへ生鮮食品

どれだけ良い品質のものであっても、物流・配送網の整備なくしては、拡がらない。日本のサービスと食材が、世界の食文化を変えていく一歩になる。

日本経済新聞:2015年3月20日)

「あれです!飛行機が来ました」。午前1時すぎ、暗闇から徐々に姿を現すANAカーゴの貨物専用機。那覇空港の「沖縄貨物ハブ」で荷物を待ち構える作業員が慌ただしく動き始めた。

 到着した機体から積み荷が次々と降ろされる。その1つにヤマト運輸の国際宅配サービスの保冷コンテナがあった。中には前日に集荷したイチゴの箱。鮮度を保つため、約10度の定温仕分け室に素早く運び、数量を確かめ海外向けに発送作業を進めていく。ヤマトの強みの温度管理技術と、ANAカーゴの配送のノウハウを生かした連携プレーだ。ほかにもリンゴ、カニ、クルマエビなどの生鮮食品を最速で翌日配送することができ、世界12都市64路線を結んでいる。通関を済ませた荷物を積んだ機体は夜明け前の4時すぎ、消費者の待つ香港へと旅立った。

   自治体もビジネスチャンスを見逃さない。昨年は青森県熊本県が特産品の販路の拡大でヤマトと提携。1月には愛媛県、ヤマト、ANAカーゴの3者が連携協定を結んだ。県の担当者は「宇和島産の養殖マグロが香港で好評。かんきつ類にも力を入れたい」という。高い品質の「日本産」を携えて、地方からアジアの巨大市場へ打って出るねらいだ。

 「沖縄貨物ハブ」は24時間運用できる全日本空輸の国際貨物基地。アジアの主要都市から4時間圏内で中国や韓国、タイ、シンガポールの各都市を結ぶ重要な貨物便ネットワークの梅田専太郎役割を担っている。駐機場は10カ所でサッカー場4面分の広さだ。200人体制で行き交う積み荷や航空機を管理する。

 24時間運用できる空港は新千歳、羽田、中部、関西、北九州などほかにもあるが、アジアへの距離や広い土地の確保を考えると那覇が最適のスポットになる。地の利を生かした「眠らない空港」と連携した宅配サービスがいま熱い。