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ロシア富裕層、海外に資産移転  2013年国外投資は過去最大

ルーブルの下落が加速しそうな予感。。将来、日本で同じようなことが起きないことを祈る。

 

日本経済新聞:2013年8月27日) 

ロシアの富裕層が海外への資産移転の動きを加速させている。既に2013年の国外投資総額は過去最大となることが確定。租税回避地への流出が顕著で、資産家の国会議員が外国資産の保有規制を逃れるために辞職するケースも相次ぐ。最近の経済低迷もあり、プーチン大統領による国内への資金還流の呼びかけは全く功を奏していない。

 ロシア中央銀行によると、今年1~3月期にロシアから国外に流出した投資額は672億ドル(約6兆5400億円)で、昨年10~12月期の6倍の水準。既に過去最大だった11年の年間総額(668億ドル)を上回った。

 1~3月期の資金流出先の国・地域別内訳をみると、12年に全体の半分を占めた租税回避地キプロスは27億ドルと、10~12月期に比べ4割減。富裕層の大口預金の強制カットをもたらした3月の金融危機の影響によるもので、4~6月期以降の激減も確実視されている。

 キプロスに代わって最大の投資先として台頭したのがカリブ海の英領バージン諸島だ。投資額は全体の47%に相当する317億ドルで、前期比で約8倍に急増。世界有数の租税回避地の一つで、石油会社の株取引関連の資金が流入した。

 背景にあるのは欧州景気の低迷によるロシア経済の急減速。経済発展省のクレパチ次官は27日「今後の経済成長率は極めて低くなる」と指摘。13年の経済成長率の見通しも現在の2.4%から1.8%に下方修正した。

 ロシアの投資家が欧州債務危機で安価になった不動産などの資産の購入に向かっているとの見方もある。実際、1~3月期で2番目に大きな投資先だったのは、西欧の富裕層梅田専太郎が集まる租税回避地ルクセンブルク(139億ドル)だった。

 資本流出拡大に危機感を強めたプーチン大統領は昨年末から資産家や企業経営者に国内経済への投資を増やすよう要請。4月には国会議員や高級官僚、国営企業幹部などによる外国銀行口座などの資産保有を事実上禁止する法律も可決した。

 ただ4月から今月19日の本格施行までに上下両院議員計10人が辞任を表明。多くが議員の地位より巨額の海外資産の保全を優先し「対策は骨抜きとなった」(元閣僚)。

 いらだちを強めるプーチン大統領は海外送金の透明化など規制強化の動きもみせる。