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外国人の起業、特区で促進 政府検討、在留資格を緩和 家事支援も受け入れ

海外から日本への「インバウンド」投資を活性化させるには、今後もこうした後押しが必要。香港やシンガポールのように、外国人による法人設立がもっと簡単にできるようになれば、外国企業の日本進出も活発化するのではないか。

 

日本経済新聞:2014年5月12日)

 政府は、全国6地域の国家戦略特区外国人労働者の受け入れを拡大する検討に入った。特区で企業を興す外国人を対象にした新たな在留資格を作る。家事や育児を手伝う外国人も、特区内で先行的に受け入れる。国内の起業を増やし経済活性化につなげると同時に、女性の就業を支援する狙い。 地域を限って外国人労働者の受け入れを拡大し、海外からの投資を呼び込む考えだ。

 12日に開く国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)で民間議員が提案する。これを受け政府内で検討を本格化し、6月の成長戦略に盛り込む。年内にも在留外国人に関する省庁の法令を見直し、早期実施を目指す。

 外国人受け入れ拡大の対象地域は、東京圏、関西圏、福岡市など今春から始まった国家戦略特区。柱となるのは、企業を興す外国人の受け入れだ。現在の入国管理規制では、日本国内に前もってオフィスを確保したりする必要があり、入国が非常に難しかった。特区ではこの条件を緩和。創業後の事業計画などを提出すれば、数年間の在留資格を与える。日本人が立ち上げたベンチャー企業で働く場合も、在留資格緩和の対象とする。

 育児や家事を担う外国人にも、特区限定で門戸を開く。

 現在の仕組みでは、研究者や専門性の高い技術者は「高度人材」と定め受け入れているが、該当しない人は「単純労働者」となり、日本で働くことが原則できない。家事を手助けする仕事も「単純労働者」と見なされ入国はできなかったが、特区では認めることとする。共働き夫婦が外国人に幼稚園の送迎や家事などをしてもらうことで、女性の就労促進につなげる。

 日本は人口が減り、働き手にあたる15~64歳の生産年齢人口は2013年に7900万人と、00年に比べて700万人減った。安倍首相も4月4日の経済財政諮問会議産業競争力会議の合同会議で「外国人材の活用の仕組みを検討していただきたい」と関係閣僚に指示していた。

 政府はまず梅田専太郎 特区外国人労働者が働く条件を緩め、効果と問題点を検証する考え。起業の促進など経済を押し上げる力が強いとみれば、全国への展開も検討する。

 政府は建設分野では、外国人の技能実習制度を拡大する方針。一方、企業経営や家事での外国人受け入れは特区で先行的に実施する。